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埼玉県西部に位置する豊かな自然に囲まれた「秩父」。その中心にある秩父神社では、毎年12月2日・3日の2日間にわたり、ユネスコ無形文化遺産にも登録された伝統行事「秩父夜祭(ちちぶよまつり)」が盛大に開催されます。京都の祇園祭、飛騨の高山祭と並ぶ日本三大曳山祭(にほんさんだいひきやままつり)の一つとしても知られ、毎年約25万人以上が訪れる秩父最大のお祭りです。
この記事では、「秩父夜祭」とはどんなお祭りなのか歴史をはじめ、見どころや開催スケジュール、屋台グルメ、さらに周辺のホテル情報まで詳しくご紹介します。
秩父夜祭 とはどんなお祭り?歴史をご紹介

出典:写真AC「秩父神社」
秩父夜祭 (ちちぶよまつり)は秩父神社の例大祭で、文化や都市生活が発展した、戦乱のない比較的平和な江戸時代に、秩父神社のご祭神「妙見さま(妙見菩薩)」に、豊作への感謝と翌年の五穀豊穣を祈る祭礼として始まったとされています。300年以上の歴史を誇る、秩父を代表する伝統的な祭りです。
秩父地域は古くから養蚕が盛んで、蚕(かいこ)を育てて絹を生産する農家が多く存在しました。江戸時代には祭りと同時期に秩父絹の市「絹大市」(きぬのたかまち)が立ち、絹の産地として大いに栄えたといわれています。地域に富が集まったことで、祭りの繁栄と、豪華な笠鉾や屋台(山車)へと発展しました。
現在は絹市は行われませんが、地域の歴史・産業・信仰が融合した象徴として、今も祭りの中で語り継がれ、秩父に住まう人々の1年の総決算として「夜祭」「妙見さま」、「お蚕まつり」などと呼ばれ親しまれています。
また、2016年には「山・鉾・屋台行事」の一つとしてユネスコ無形文化遺産に登録され、日本を代表する伝統行事として国際的にも高い評価を受けています。
宵宮(よいみや)と本祭(ほんさい)の違いと開催内容

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秩父夜祭は、12月2日の「宵宮(よいみや)」と12月3日の「本祭(ほんさい)」の2日間にわたって行われる、秩父神社の例大祭です。それぞれに異なる魅力があり、祭りの雰囲気も大きく変わります。
● 宵宮(12月2日)
朝から山車の曳きまわしが行われ、屋台の牽引や花火が打ち上げられる前夜祭のような1日。
午前9~11時ごろから、4台の屋台(宮地・上町・中町・本町)が大通りを中心に曳かれます。
2日の「宵宮(よいみや)」は3日の本祭に比べて比較的見学しやすく、すれ違いや、屋台両袖に舞台を特設しての地芝居(秩父歌舞伎)や地元の花柳一門と杵屋一門による曳き踊り(所作)、屋台の宮参りなどを見ることができます。
● 本祭(12月3日)
屋台の「団子坂曳き上げ」、花火の打ち上げ、神社への参拝が行われるメインイベントです。
午前8~9時頃から6台の笠鉾・屋台が市内を曳き廻されます。
昼間は秩父神社及び大通りを中心に見ることができ、夜間は、秩父神社、秩父鉄道秩父駅前、及び本町・中町通り、聖人通り等で見ることができます。ご神幸行列や各町会の山車が秩父神社を出発する午後7時過ぎから、お旅所(おたびしょ)に到着するまでの午後10時頃までがお祭りのピークとなります。
秩父夜祭の特徴と見どころ

出典:写真AC「秩父夜祭」
祭礼当日は、屋台・出店・太鼓や囃子の音が町に響き、秩父中がお祭りムードになり賑やかになります。地元の人々の熱意や伝統文化の力強さが感じられます。ここでは、秩父夜祭の特徴や見どころをご紹介します。
1. 豪華絢爛な「笠鉾・屋台(山車)」

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秩父夜祭の特徴といえば、豪華な屋台と笠鉾(かさほこ)の曳行(えいこう)です。国の重要有形民俗文化財である、彫刻や金箔、提灯で美しく飾られた4台の屋台と、2台の笠鉾(屋根の形が笠に似ていることから名が付いた山車の一種)が、胸に響く秩父屋台囃子(はやし)のリズムにあわせて市街地を曳き回されます。
屋台では、屋台歌舞伎や曳き踊りが上演され、夜になると屋台に提灯が灯され幻想的な雰囲気に包まれます。こういった「秩父祭りの屋台行事と神楽」は、国の重要無形民俗文化財となっています。
● 屋台芝居(屋台歌舞伎)
屋台の両脇に張出舞台をつけて演じられる「屋台芝居」。宮地・本町・上町・中町の各屋台により4年に1度ずつの回り番となっており、今年は中町屋台での上演です。
開催場所:
旧ベスト電器
日時:
12月2日:18時~21時、
12月3日:10時40分~14時
● ギリ廻し
屋台や笠鉾の方向転換は「ギリ廻し」と呼ばれ、テコの応用で山車を浮かし、軸を中心に回転する方法などをとります。重さ数十トンの屋台・笠鉾が大きく傾き、「玉入れ」という小太鼓の曲目が演奏されます
● 屋台曳き踊り(ひきおどり)
4基の屋台の舞台上で「地方(じかた)」による三味線の長唄に合わせ、子どもの「立方(たちかた)」が日本舞踊を披露します。この舞が行われるのが「曳き踊り」と呼ばれる伝統芸能です。屋台の曳行(えいこう)の途中、屋台町である宮地・上町・中町・本町の各町内ごとに、街の辻や他町会所前、秩父神社の神門前などに屋台を止めて、舞が奉納されます。
祭りの中でも特に格式高い場面として多くの観客を魅了します。
開催場所:
秩父神社~宮側・本町・中町・上町通り
日時:
12月3日:10:00~13:00
2. クライマックスの「団子坂の曳き上げ」

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秩父夜祭ののクライマックスは、3日に行われる「団子坂の曳き上げ」です。高さ約25mの急坂である「団子坂」で、6基の豪華な山車(笠鉾・屋台)を一気に曳き上げる神事です。山車は最大20トン以上の重さがあり、大勢の曳き手たちが「ホーリャーイ!」の掛け声とともに力を合わせて一気に引き上げます。
冬の寒さを忘れるほどの熱気と迫力があり、観客からも大きな歓声が上がります。
※ 団子坂周辺はとても狭いエリアのため、臨時の有料観覧席も設置されていることから、観覧席をご予約されている方以外の見学はほとんど難しくなっています。
3. 澄んだ夜空に上がる大迫力の花火

出典:写真AC
秩父夜祭は、冬の夜空に花火が上がる全国的にも珍しい祭りとしても知られています。秩父夜祭のクライマックスを演出するために、団子坂の曳き上げ時間と同じ時間帯に打ち上げられます。
澄んだ空気の中、打ち上げ花火や仕掛け花火が次々と上がり、花火と提灯の光が交錯する幻想的な風景を作り出し、より一層お祭りを盛り上げてくれます。秩父の冬を代表するこの光景は、訪れる人々に忘れられない感動をあたえます。
『 花火大会プログラム 』
【打上時間】
● 12月2日(火) 19:00~20:00 単発花火 スターマイン370発
● 12月3日(水) 19:30~21:55 花火大会4100発
19:30~ 第1部 黄金の滝尺玉100連発・大玉スターマイン・黄金の滝
第2部 煙火町競技花火大会
第3部 虹のスターマイン大会
21:50~フィナーレ 黄金の滝
※打ち上げ時間等は変更となる場合があります。
【打上場所】
羊山公園内(立入禁止の規制時間有り)
【観覧場所】
● 12月3日(水) よく見える場所
・国道140号の西武秩父駅前信号~上野町交差点の間
・秩父市役所駐車場(花火観覧会場)
・西武秩父駅前
令和7年度 秩父夜祭行事表
秩父夜祭には、豪華な山車の曳行や花火だけでなく、地域の伝統芸能や文化を体感できる行事が数多くあります。以下に、代表的な行事をご紹介します
『12月1日~6日』
| 行事名 | 時間 | 会場 |
| 国指定重要無形民俗文化財 「秩父神社神楽」演奏 |
2日 9:30~16:00 3日 9:30~15:30 6日 9:30~16:00 |
秩父神社「神楽殿」 |
| 屋台芝居 | 2日18:00~21:00 3日10:40~14:00 |
旧ベスト電器 |
| 秩父流鏑馬 | 5日13:00~※雨天決行 13:00 秩父神社奉納奉告祭 14:00 時秩父流鏑馬神事 |
道の駅ちちぶ裏 (太平洋セメント跡地) |
| 秩父路の土産品展示即売会 | 1日、2日、4日~6日 10:00~18:00 3日10:00~22:00 |
秩父市地場産業センター1階 |
『12月3日(大祭)』
| 行事名 | 時間 | 会場 |
| 屋台曳き踊り | 10:00~13:00 | 秩父神社~宮側・本町・中町・上町通り |
| 秩父屋台囃子実演 | 11:00頃 10:00~17:00 11:00~18:00 |
矢尾百貨店 西武秩父駅 秩父駅 |
| 秩父歌舞伎おねり道中 | 14:30~ | 旧ベスト電器~矢尾百貨店 |
| 秩父歌舞伎公演 | 16:00頃 | 矢尾百貨店 |
食べ物の屋台(露店)の営業場所と時間


出典:写真AC「みそポテト」「豚みそ丼」
秩父夜祭夜祭では牽引される「屋台」が有名ですが、祭りの熱気とともに楽しめる食べ物の屋台(露店)も大きな魅力のひとつです。3日の本祭では、街中にも屋台が開かれ、お腹も心も満たしてくれます。

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食べ物などの屋台が開いている時間について、2025年11月に一般社団法人 秩父観光協会さんに問い合わせたところ、毎年きっかり同じ時間帯ではなく、2025年も現時点では確定していないとのことでしたが、大体下記の日時&場所で食べ物などの屋台が開いているとお話しをいただけました。
2日:駅のロータリー近辺で出店される。街中には出ないことが多い。
3日:山車を曳く周りや街中に出店されており、午前9~10時ぐらいに開き、花火が終わる午後22時ぐらいに終わるお店が多い。


出典:写真AC「わらじかつ」「おっきりこみうどん」
秩父名物のみそポテト、豚みそ丼、わらじかつ、おっきりこみうどん、地酒、甘酒などが並び、寒い夜にぴったりのあったかグルメも充実。 キッチンカーや地元高校生考案の創作メニューなど、地域色豊かな屋台が集結するのも特徴です。
混雑を避けたい方は、昼間の時間帯や駅から少し離れたエリアがおすすめです。

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地元の特産品のひとつとして扱われている「鬼ゆず」。見て楽しく、飾って縁起よく、ジャムやピールなどに加工して食べれて健康にも◎です。
「秩父夜祭」2025年の開催概要とアクセス
■期間
宵宮(よいみや):12月2日(火)
本祭(ほんさい):12月3日(水)
■秩父神社住所: 〒368-0041埼玉県秩父市番場町1-3
■アクセス
【電⾞】
●西武鉄道「西武秩父駅」下車 徒歩15分
※西武秩父駅から秩父神社までは通常、徒歩15分くらいですが祭りの際にはもう少し時間がかかります。
●秩父鉄道「秩父駅」下車 徒歩3分
●池袋駅より 西武池袋線特急レッドアローを利用の場合、全席指定・乗り換えなし。約80分。
●高崎駅より JR熊谷駅から秩父鉄道に乗り換え。
【車】
関越自動車道 花園I.C.より約30km。
花園I.C.を降り、国道140号線を秩父・三峰方面へ。
皆野寄居バイパスを利用の場合、約50分。
秩父市内に入り、国道299号線と交差する上野町交差点を右折。
● 秩父夜祭大祭3日水曜 交通案内図
● 臨時駐車場ご案内:秩父夜祭臨時駐車場情報
※12月3日のみ有効
※臨時駐車場の駐車台数には限りがあります。また、当日は大変な混雑が予想されますので公共交通機関をご利用ください。
■お問合せ
秩父神社ホームページ:秩父夜祭 | 秩父神社
秩父観光ナビ:令和7年の秩父夜祭について | 秩父観光なび
秩父観光協会:秩父夜祭(宵宮・本祭) – 秩父観光協会
秩父神社
TEL:0494-22-0262
FAX:0494-24-5596
秩父夜祭の会場周辺おすすめホテル

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お祭り当日は秩父神社や秩父公園を中心に交通規制が実施されるほど混雑し、解除後も鉄道などは非常に混み合うため、秩父をまるごと満喫するのにホテルや宿などの宿泊施設を予約するのもおすすめです!